将棋盤・駒の基礎知識

駒の基礎知識

種類

印刷駒

 木地に文字を印刷したもの。価格帯は¥100〜¥1,500くらい。

書き駒

 木地に職人が漆で文字書いたもの。現在では少ない。価格は¥12,000〜。

彫り駒

 木地に文字を彫りこみ、文字の部分に漆を塗ったもの。安価なものでは漆の代わりにカシュー液が使われる。字体には並彫・中彫・上彫・特上彫等があり、価格があがるにつれて、略字から楷書体に近づいていく。高価なものには、後に紹介する有名書体のものもある。価格帯は¥1,500〜¥100,000前後と幅広い

彫埋駒

 彫り駒に漆を埋め込んだもの。表面が平らで、盤に吸い付くような味わいがある。ちなみに、NHK杯などのテレビ将棋では、画面で漆が反射するのを避けるために、この彫埋駒がよく使われる。価格は¥100,000〜¥200,000ぐらい。

盛上駒

 彫埋駒の上に更に漆で文字を高く盛り上げたもの。最高級品。プロの公式戦で使われる。もちろん愛棋家も使う。

材質

 緻密で適度な硬さの材質が好まれる。印材や版画・彫刻材。

普及材

 朴・樺・槙・楓・椿・プラスチックなどが代表的で、価格帯は¥100〜¥5,000くらい。

シャムつげ

 「つげ」と称しているが、実は東南アジア産のアカネ科の木。印鑑業界では公正取引委員会の指導もあって現在では「シャムつげ」という呼称は使われていない。しかしながら、材質は黄楊とよく似ており、使用感は良い。黄楊と比べると色がやや白く、軽い。価格帯は¥5,000〜¥10,000前後。

中国黄楊

 中国産の正真正銘の「つげ科」の木材。ただ材質にばらつきがあって、安価なものから高級品まで幅広く使われている。価格帯は¥10,000程度から数十万円くらいまで様々。

黄楊

 最上級の素材。特に御蔵島の「島黄楊」、鹿児島の「薩摩黄楊」は最高級品として珍重されている。材質は極めて緻密で重硬、磨くと艶が出て使い込むと独特のアメ色になる。

書体

 書体の種類は数え切れないほどあるが、特に「錦旗」・「水無瀬」・「巻菱湖」・「源兵衛清安」は四大書体と呼ばれ、多く作られている。同じ書体でも駒師によって個性があるので、いろいろ比較してみるのも面白い。

錦旗(きんき)

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将棋家元・大橋本家に伝わっていた「伝・後水尾天皇御宸筆の駒」を豊島龍山が模写して制作したものが始まり。駒作りの世界では「錦旗に始まり錦旗に終わる」といわれるほど基本であり、また奥が深い書体。

水無瀬(みなせ)

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関白豊臣秀次も愛用したという、16世紀末の公家・水無瀬兼成の作品がルーツで、大阪の水無瀬神宮に当時の作品が現存する。水無瀬神宮のものは特に「古水無瀬」とよばれ、江戸時代を通じでしだいに書体が変化して、現在の「水無瀬」になったと考えられる。

巻菱湖(まきりょうこ・まきのりょうこ)

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江戸後期の書家・巻菱湖の書を、大正時代の棋士・高濱禎が駒字に作り変えて、駒師・豊島龍山に依頼して作ったのが始まり。

源兵衛清安(げんべえきよやす)

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江戸時代から伝わる古い書体だが、詳細は不明。

盤の基礎知識

種類

布盤

 布に9x9の升目が書かれたもの。携帯に便利。駒音が静かなのも特徴で、かの升田幸三も自宅では布盤を使って研究していたという。

折盤

 盤の真中に金具があって折りたためるもの。携帯に便利。アガチスや桂を使ったものが多い。

卓上盤

 卓上で使うことを考えた脚のない盤。厚みが一寸から二寸のものがほとんど。実際に机の上で使う場合は一寸程度のものの方が適度な高さで使いやすく、指し味を求めるなら二寸盤のほうがよい。また、榧の卓上盤は反りが出やすいため一枚板のものは少なく、4〜6枚程の板を張り合わせた「ハギ盤」が一般的。

脚付盤

 脚のついた本格的な盤。厚みは四寸から七寸くらい。職人による手彫りの脚のものは特に高価。
 

材質

新桂(アガチス)

 「桂」と名がついているが、まったく関係ないナンヨウスギ科アガチス属の木。折盤などで良く使われている。

新榧(スプルース)

 「榧」と名がついているが、まったく関係ないマツ科トウヒ属の木。安価で見た目も美しいため、卓上盤や脚付盤でも使われている。

米ヒバ

 ヒノキ科ヒノキ属の木。卓上盤や脚付盤で使われている。乾燥比重も榧に近く、指し味も良い。桂材よりやや高価。

 カツラ科カツラ属の木。古来より将棋盤の材料として使われており、愛好者も多い。本榧盤を買うほどの予算がなく迷っている場合は、桂がおすすめ。

 イチイ科カヤ属の木。最高級品。中国産のものもあるが、宮崎県の「日向産榧」が最上級品。テレビ将棋でも見られるあの駒を打ち付けたときの乾いた音、指し味は榧でしか味わえない。
 榧盤は乾燥が不十分だとワレや反り、カビ等が出る恐れがある。最低でも5年以上、完全に乾燥するには15〜20年はかかるといわれている。

木取り

 榧は樹齢300年のものでも直径1m程にしかならないため、きれいな柾目ばかりを取る訳にはいかず、板目盤も多く作られている。下に行くほど高価で指し味が良く、狂いも少ない。ちなみにスプルースは木が大きいので、柾目が簡単に取れる。

板目(木表)

木表木の表皮側を天面としたもの。木裏側にキズやフシなどがある場合この木取りになる。盤面に板目が出てしまうため榧盤の中では安価だが、それほど指し味が悪いというわけでもない。

板目(木裏)

木裏木表盤を天地逆にしたもの。木目も整っており、木表より高価。

柾目(追柾)

追柾天面に少し板目が残るが、大部分が柾目となっているもの。

柾目(天柾)

天柾天面が完全に柾目のもの。裏は板目。

柾目(天地柾)

天地柾天面だけでなく裏面まで柾目のもの。数は少ない。

柾目(四方柾)

四方柾天地側面すべてが柾目となっているもの。巨木からしか取れないため、近年ではほとんど作られていない。
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リンク

ネット通販

日本将棋連盟
将棋界の総本山「日本将棋連盟」の直営店。普及品から超高級品まで扱う。盤駒の他に将棋グッズも豊富。
夢通販館
普及品から高級品まで幅広く扱っている。
方円堂
お値打ちな榧盤や米ヒバ盤や銀杏盤などの珍しい盤を扱っている。
囲碁ラボJAPAN
普及品から中級品まで扱う。
東京棋具
中級品がメイン。
天童佐藤敬商店
「NHK杯」で使用されている”光匠作一字彫り”を扱っている。

碁盤店

前沢碁盤店
老舗
熊須碁盤店
宮崎県
碁盤師鷺山
碁盤職人